予備試験合格後から司法試験までの過ごし方と気をつけるべきポイント
はじめに
こんばんわ、やきなすです。
2018年11月8日に予備試験の合格発表がありました。
最終合格された方は、本当におめでとうございます。
法律家という夢への大きなステップを踏んだと思います。
少しだけ合格の余韻に浸っていただきたいですが、半年後には司法試験が待っています。
見事予備試験に合格された皆様には、ぜひとも、勢いそのままに、来年の司法試験に合格してもらいたいと思います。
さて、ほっと一息つくのも束の間、司法試験までは半年です。
人によっては、予備試験にまさか合格するとは思っていなかった、という方もいるかもしれません。
選択科目はこれから決めるなんていう方もいるかもしれません。
しかし、安心してください。
私も以前、まさに上記のような状態でしたので、焦る気持ちはよくわかりますが、不安なのはみな同じです。
誰一人として、100%準備万端で司法試験に挑む人などいないので、あと半年でやるべきことをやればよいだけです。
そして、予備試験に合格された皆様は、すでに司法試験合格に必要な基礎力があることを証明されたも同然です。
あとは、今持っている基礎力を、司法試験に適応させるためのちょっとした訓練をするだけです。
そう考えると、残り半年は十分と言えるでしょう。
◆◆伊藤真が教える司法試験予備試験の合格法 / 伊藤真/編著 / 日本経済新聞出版社
司法試験までにやるべきこと
- 選択科目の準備
多くの人にとって、選択科目はほとんど準備していない状態だと思います。
予備校の集中講義などもうまく活用しつつ、最低限の重要論点について勉強して、論文の準備をしましょう。
選択科目の答案の分量は予備試験と同程度なので、執拗に焦る必要はありません。
なお、筆者は労働法を選択しました。馴染みやすい科目ですし、短期間で最低限を抑えるにはいい科目だと思います。もちろん、法科大学院などで学んだ得意科目があるのであれば、そちらを選択することでよいと思います。
- 過去問の勉強
選択科目以外で、司法試験と予備試験で大きく異なるのは、論文試験の分量です。
したがって、選択科目の準備に次いで、残り半年間の勉強のメインとなるのが、長文問題に慣れるための訓練です。
多くの人が、ここで面食らって、司法試験むずかしくないか、、となるのではないかと思いますが、心配はご無用です。
まず、司法試験で問われている力と予備試験で問われている力は同じです。したがって、基本的には予備試験の論文のときの思考法がそのまま通用します。あとは、問題文が長くなるに応じて、少しだけ、あてはめの部分を中心に答案に厚みを持たせていくことになります。
過去問は、新しいものから、できれば全年度検討しましょう。なぜなら、資格試験である以上、各年度の試験の難易度や、それを通して問うている力は、ある程度一定とせざるを得ないからです。
過去問とまったく同一の問題は出ないとしても、同じ基礎知識を別の角度から聞いているという問題はよく出ます(たとえば、刑訴の伝聞法則などが典型です。。)。
よって、過去問こそがもっとも適切な練習問題となります。
- 今まで学習した基礎知識の復習
司法試験はより問題文が長くなり、予備試験以上に、時間との闘いにもなります。
また、予備試験と異なり、受験者は、法科大学院の修了生か予備試験合格者しかいません。すなわち、受験生全体のレベルは、予備試験よりは高いということです。
その司法試験において、何より重要なのは、いかに基礎的な知識の精度が高いかどうかです。
問題文が長くなり、現場でしかできないあてはめなどに時間を使うためにも、基礎的な知識の精度を再度高め、現場では反射的にそれをアウトプットできる状態にしておくことが重要です。
したがって、今まで学習した典型論点の論証や、条文の知識などを、再確認することが大事だと思います。
ちなみに、私は、なんとなくやる気がでるという理由で、予備試験のときにもらった予備試験六法をマーカーで加工して使用していました(司法試験六法と大体同じような配置なので、六法慣れという意味でもおすすめです。市販の司法試験六法を使うのでもよいと思います。)。
こんな感じ(⇩)で、条文の大事な知識をイエローでハイライトして、また条文の文言に紐づいた論点が存在する箇所をピンクマーカーでハイライトして、条文を見て論証を思い出す訓練をしていました。
条文は、短答式試験の対策としてはもちろん、論文式試験の対策にも直結するもっとも重要なものなので、面倒くさがらずに引く癖をつけることが非常に大事です。(今は刑訴の短答はないようですが。)
◆◆趣旨・規範ハンドブック 司法試験/予備試験ロースクール既修者試験 3(平成29年度版) / 辰已法律研究所
司法試験までにやってはいけないこと
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新しい基本書などに手を出すこと
これは何より重要です。
やるべきことにも通ずるところがありますが、司法試験までは残り半年です。
いまから新しい基本書などで知識を入れて、それを自分のものにするほどの時間は通常ありません。
むしろ、余計な知識が入ってくると、今まで信じて記載していたことに迷いが生じるおそれすらあり、有害です。
今までに学習した知識の精度を高めることに注力してください。
私は予備試験から司法試験まで、学習のベースとしていたのは各科目一冊ずつのみでしたが、それでも十分に合格できます。
司法試験と予備試験の問題の毛色が異なることから、何かまったく別の能力や高度な知識が必要なのではないか、といった不安に襲われることがあるかもしれません。
しかし、そのような偽情報には惑わされずに、今までやってきたことを信じて、それを徹底してください。
予備試験に合格された皆さんであれば、絶対に大丈夫です。
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模試を受けすぎること
予備校などの模試は、現場の雰囲気を味わうための予行演習として、1,2回受けるのは効果的だと思いますが、あくまで本試験ではありません。
実際に私自身も失敗したのでよくわかるのですが、模試を受けることで、受験生としては、「あの論点が出るのではないか」といったヤマを張る思考に陥りがちです。
また、万が一模試で知らない問題が出た場合、精神衛生的にも悪いです。本来合格に必要ない知識にもかかわらず、直前にそれを目の当たりにすると、どうしても新たにそれを身に着けようとしてしまいがちです。
しかし、そのようないわゆるヤマ張りや、直前の未知の知識の詰め込みは、本試験には通用しないどころか、むしろ悪影響を及ぼします。
私も、模試を直前に受けたところ、まったく知らない論点が出てきました。そのせいで、あれほど基礎を徹底しようと心がけていたにもかかわらず、もしこれが出たらまずいという気持ちが浮かび、その論点を(よく理解もせず)ちょっと復習しました。
その結果、本試験で、当該論点に引きずられて、本当は全く違う似た論点であったにもかかわらず、「ヤマが当たった!」とばかりに、まったく別の論点を大展開するという大失敗を犯しました。。(それでもしっかり合格できたのでよかったのですが。。)
これを読んでくださっている皆様には、同じ失敗をしてほしくないので、どうか直前の詰め込み知識に頼るのではなく、まっさらな気持ちで、今まで血肉とした基礎力を武器に、現場の問題に真正面から取り組んでほしいと思います。
少しでも皆様の参考になれば幸いです。
<今回の名言>
「天才は有限なれど、努力は無限なり」