令和初年度の予備試験論文試験を控えた方へ
こんにちは、やきなすです。
いよいよ記念すべき令和元年の予備試験論文試験が目前に迫ってきました。
受験を控えている方へ、遅くなりましたが、まずは短答式試験の合格おめでとうございます。ひとつのステップをクリアしたということで、自信をもってください。
ですが、ご存知の通り、山場は次の論文試験です。これを突破するために当日心がけるべきことを今からお伝えします。
なお、論文についての注意点を記載した過去の記事もよろしければ参考にしてみてください。基本的にはお伝えすることはそれの繰り返しになろうかとは思います。
①問題文を丁寧に読むこと
緊張した現場では意外と怠りがちです。
問題文で聞かれていることに答えなければ点はつきませんし、
問題文の中にしかヒントはありません。
ぜひ読み間違えなどしないように、きちんと問題文を読んでください。
②覚えたこと・勉強したことを丁寧な日本語で表現すること
せっかく勉強しても、頑張って覚えても、それを答案用紙に表現できなければ点はつきません。
試験当日こそ、まさに今まで努力したことを遺憾なく発揮する場です。
よく「記憶の吐き出しでは受からない」などと言う人もいます。しかし、勉強して記憶したこと以外はむしろ答案に書きようがありませんし、それを記載しないで何を書くのかということになります。
変なうわさに惑わされずに、基本に忠実に、勉強したことを答案にきっちり表現してください。
③わからない問題がでたときは原理原則に立ち返る
勉強していないこと・知らないことが聞かれても焦る必要はありません。
今まで頑張って勉強してきたあなたが知らない問題は、他の人も知らない問題です。
そんなときは、原理原則や条文の趣旨に立ち返って論述しましょう。
④最後まで絶対にあきらめない
そして、一番重要なことが、最後まで決して諦めないことです。
どんなにミスをしても、最後まで受験しきれば、合格の可能性はありますし、仮に不合格となったとしても次につながる受験ができます。
諦めたら試合終了です。
必ず最後まで粘ってください!
皆さまの健闘を心よりお祈りしています。
<今回の名言>
「自分自身を信じてみるだけでいい、きっと生きる道が見えてくる」
【司法試験、予備試験】直前期の過ごし方
こんにちは、やきなすです。
令和になりました。上皇がおっしゃっていたように、新しい時代が、平和で実り多い年になりますように、一国民として切に願います。
5月1日ということで、いよいよ司法試験、予備試験の直前期ということになります。
不安や焦りを感じているのは、あなただけではありませんので、心配しないでください。
今やるべきことを、普段通りにこなしましょう。
直前期のこの時期にやるべきこと、やってはいけないことを紹介します。
やるべきこと:
直前期には、とにかく今まで身につけた知識の総復習をしましょう。
私は以下のように1日を大きく2つのブロックに分けて勉強していました。
9時〜15時→司法試験の直前期には論文の演習を、予備試験の直前期には択一の演出を、それぞれ行なっていました。
15時〜24時→司法試験の直前期には、勉強の基本としていたテキストの読み返し、及び論文の論証の記憶、予備試験の直前期には、勉強の基本としていたテキストの読み返し、及び条文の素読を行なっていました。
ポイントは、なるべく1日で全科目をやるということです。
試験の合格との関係で、各科目の重要度に差はありません。
全科目満遍なく得点を取ることが大切なので、バランスよく勉強することが必要です。
やってはいけないこと:
新しい本に手を出したり、新しい知識を覚えようとすることは絶対にやめましょう。
今から新しい知識を覚えようとすれば、その分、いま知っていたはずの知識の精度が落ちていきます。
また、今から付け焼き刃で覚えたような知識では、本試験では通用しません。
2年3年必死に勉強してきた人、予備校の基礎講座を受講し終えたレベルの人にとって、今まで習得した知識だけで、十分に合格することは可能ですので、手を広げることはやめて、今ある知識の精度を高める時間に使いましょう。
直前に模試を受ける方も多いと思いますが、仮に模試で今まで聞いたことのないような問題や論点が出たとしても、それを覚えようとするようなことはしないでください。
私は、直前模試の問題に引きずられて、似たようでいて全然違う論点について、間違った記述を大展開しました。
きちんと自分の中で消化できていない知識であったため、このようなミスをしました。
模試と同じ問題はまず出ないと思って間違い無いですし、仮に出たとして、その模試を受けていないとしても、合格することはできます。
みなさまが新時代のはじめての合格者になることを祈っております。
<今回の名言>
「だれにだってあるんだよ ひとにはいえないくるしみが
だれにだってあるんだよ ひとにはいえないかなしみが
ただだまっているだけなんだよ
いえば ぐちになるから」
イチロー引退
こんにちは、やきなすです。
先日、イチロー選手が引退を発表しました。
今まで数々の偉業を成し遂げてくれた日本のスーパースターに、ありがとうとお伝えしたいです。
私は、少年野球をかじったくらいで、野球に人生を捧げてきたわけではありませんが、
それでも間違いなくイチロー選手の姿に勇気をもらった人間の一人だと言えます。
イチロー選手が会見で、
自分の限界を毎日少し超えるよう、地道な努力をすること、それでしか成長というのは有り得ない、時には後退しかしない時期もあるかもしれないけど、それでも自分の好きなことをコツコツと続けていくことが大切
という趣旨のことをおっしゃっていました。
まさしくその通りだと思います。
このことは、受験勉強にも当てはまると思います。
毎日の勉強の積み重ねでしか、合格はあり得ません。
このまま勉強を続けたら合格する保証もない、
毎日勉強しているけど、どのくらい成長しているかもわからない、
時には後退している気すらする。
それでも、めげずに勉強を続けることができるか。
それで勝負は決まるのだと思います。
そうはいっても、やる気がでない、体調が悪いなどで、
勉強が進まなかったり、もう辞めたいなと思う日もくるでしょう。
そんなとき、私は、合格体験記を読んだり、講演を聴くなどして、先輩合格者の声に耳を傾けていました。
すると、合格者もみんな同じように悩んで、四苦八苦を経験して合格したのだということがわかりました。
また、合格した先にはやりがいのある仕事が待っているのだ、ということもわかりました。
合格者の数だけ合格の方法はあると思いますが、それでもきっと、壁にぶちあったときに参考になる話があると思います。
私も僭越ながら、一合格者の先輩としてお伝えできることがあるとすれば、
受験勉強は大変でしたし、仕事もつらいことはありますが、
この世界を目指してほんとうによかったということです。
困難な目標に向かって努力をすることはすばらしいことだと思います。
イチロー選手も、
プロ野球で苦しんだ経験がないと、楽しい草野球はできない
そうおっしゃっていました。
合格までの過程は苦しいかもしれませんが、
その先の楽しい未来に向かって、
一緒に努力をしましょう。
今回の記事が少しでも皆さまの参考になれば幸いです。
<今回の名言>
「やってみてダメだとわかったことと、はじめからダメだと言われたことは、違います。」
【司法試験、予備試験】 3月の過ごし方
こんにちわ、やきなすです。
以前の記事で、5月に試験を控えた方に向けて、
今回は、3月をどのように過ごすかをご提案しようと思います。
予備試験の受験を控えている方(ある程度勉強が進んでいる方)へ
まず、予備試験の最終合格を目指す場合、5月に短答式試験があります。
それに合格すると、7月に論文式試験、10月に口述試験という形です。
3月ともなると、
「そろそろ短答式試験対策に特化して勉強しよう」
と考える方もいるかもしれません。
しかし、私見では、3月はまだ短答式試験の勉強に集中する時期ではありません。
では、何をするか、
それはもちろん、論文式試験に向けた勉強です。
合格率のデータからも明らかな通り、
予備試験は(司法試験も)、論文式試験が天王山です。
ですので、時間の許す限り論文式試験の勉強をすべきです。
私は、予備試験を受験した年の3月は、とにかく答案を書きまくりました。
予備試験の問題は1問70分かかりますが、1日で7題解いていたと思います(それに加えて解いた後に模範解答を読んだりしていたら、ほぼ1日使うことにはなりますが、、)。
大切なのは、複数の科目を勉強するということです。
試験は全科目での総合勝負です。
得意科目を重点的にやりたくなる気持ちは分かりますが、直前期は満遍なく勉強することが大切です。
1日で7科目分答案を解けば、1日で予備試験の出題範囲となる法律科目を全てカバーできます。
さすがに毎日1つ当該科目の答案を書くと、その科目の「型」が見えてくるというか、感覚が掴めてくるので、ぜひやってみてください。
なお、論文の書き方がわからないという方は、過去の連載をご参照ください(↓)。
もちろん、そんなに時間を作れないという方もいると思います。
そんな方でも、この時期はなんとか複数科目(最低2科目)の勉強を1日のうちに行ってください。
1日1科目しかやらないと、次にその科目に回ってくるのは来週ということになってしまいます。
これでは、なかなか知識や答案の感覚を定着させるのは困難です。
まとめると、今年5月に試験を控えている予備試験受験生は、
今は論文式試験の勉強を1日複数科目行う
というのがオススメです。
ちなみに、論文を解いたら、必ず自分がベースとしているテキストなどに戻って、出題された論点とその周辺の知識を再確認するくせをつけておくとなおよいと思います。
また、このタイミングで出会った全く新しい知識(予備校などのテキストに載っていない知識)は、基本的に覚える必要はありません。
合格した経験からわかりますが、そのようなマイナー論点は、合否に影響しないからです。
怖いかもしれませんが、捨てるところは捨てて、ぜひ基本・基礎を徹底する勉強を心がけてみてください。
司法試験の受験を控えている方へ
司法試験についても、基本的には上記の予備試験の勉強と変わりません。
ただ、司法試験は1問に2時間かかるので、さすがに毎日7科目分というわけにはいかないと思います。。
私は、①公法系+選択科目、②民事系、③刑事系という形で3つに分けて、答案を書いていました。
また、答案を書くのとは別に、毎日全科目分、論証の見直しだけはやっていました。
論証を通して見直すことで、毎日全科目に触れて、知識を忘れずに定着させることができるので、これは答案を書く勉強と同等かそれ以上に大切だと思います。
三寒四温と言われるこの時期、季節の変わり目で体調も崩しやすく、大変だと思います。
上記はかなりストイックな理想論ですが、調子がよくない日や気分が乗らない日もあると思います。
そんなときはあまり無理をせず、自分を労ってあげてください。
詰め込みすぎてパンクするよりも、長い目で見て、楽しく勉強を継続することだと思います。
以上のとおり、試験では、3月にやるべきことは2月と基本的に同じです!
桜がもうすぐ花を咲かせるようです。
みなさんも試験に合格してきれいな花を咲かせられるように、あともう少し踏んばりましょう!
<今回の名言>
「しっかりと準備もしていないのに、目標を語る資格はない。」
【司法試験、予備試験】 刑法論文2 -基本的な型(単独犯)
こんにちは、やきなすです。
今日は司法試験や予備試験の刑法の論文試験で使える基本的な答案の書き方の型(ひとまず単独犯についての書き方)をお伝えしたいと思います。
刑法は全科目の中でも一番最初に論文が書けるようになる科目だと思います。
みな一定程度得意であるという意識をもって臨む受験生が多いと思います。
言い換えると、それは基礎的な部分を落とすと相対的に沈んでしまうリスクも高い科目といえますので、ここで紹介するような基礎的な型は徹底的に覚えるようにしてください。
典型的な型は、以下のとおりとなります。
1 甲の罪責について
(1) ~という行為につき、〇〇罪(〇〇条)の成否を検討する。
ア 客観的構成要件(実行行為→結果→因果関係)
主観的構成要件
イ 違法性阻却事由
ウ 責任阻却事由
エ よって、上記行為に〇〇罪が成立する。(ただし、刑の加重減免)
(2) ~という行為につき、△△罪(△△条)の成否を検討する。
・・・
(3) 以上より、甲は、〇〇罪、△△罪の罪責を負い、・・・。(→罪数処理)
基本的に、上記の手順、すなわち、
①主体(誰の罪責を問題とするか)を確定する
②(犯罪を構成しうる)行為をピックアップする
③問題となり得る犯罪を確定する
④TB(構成要件)・RW(違法性)・S(責任)・刑の加重減免の認定
⑤罪数処理
にしたがって、犯罪成立要件を検討していくことになります。
問題にならない犯罪成立要件については、上位要件は端的に認定し、下位要件は一般的に検討すら不要と考えられます。
例えば、正当防衛(違法性阻却事由に位置づけられる論点です)が問題となる事例では、
上位要件である客観的構成要件・主観的構成要件を(あまり問題とならなければ)端的に認定したうえで、
正当防衛を展開することになります。
それより下位要件である責任阻却事由や処罰阻却事由は、問題にならない場合には検討不要ということになります。
客観から主観の流れ、そして最後に罪数処理をすることは忘れないように注意しましょう。
論点も、上記の型のどの場面で出てくるものかを意識しておさえる必要があります。
以下が典型的な論点の位置づけです。
(1)構成要件の検討において問題になりうる典型的な論点
ア 客観的構成要件関連
不真正不作為犯、間接正犯、不能犯(、過失犯)
因果関係の判断基準
イ 主観的構成要件関連
故意の認定、錯誤
(2)違法性阻却事由の検討において問題になりうる典型的な論点
正当防衛の要件の認定
自招防衛、自招危難
防衛行為の結果が第三者に及んだ場合の処理
対物防衛
被害者の承諾(TBの問題となることも ex同意殺、窃盗)
(3)責任阻却事由の検討において問題になりうる典型的な論点
誤想防衛、法律の錯誤
原因において自由な行為
(4)処罰阻却事由の検討において問題になりうる典型的な論点
過剰防衛、誤想過剰防衛
中止犯
以上のように整理して論点を位置づけていくと、論点の理解や記憶もしやすくなります。
なお、論点や論証とはなんだ?といった方は、過去の記事もご覧ください。
刑法を得意科目にして、合格を手繰り寄せましょう。
今回の記事が少しでもみなさまの参考になれば幸いです。
【司法試験、予備試験】 民法論文の作法1 -民法的思考
こんにちは、やきなすです。
今回は、民法の論文の書き方の1段目として、民法的思考というものを説明しようと思います。
これはつまり、民法の論文問題を解くときに、どのように筋道を立てて考え、答案を記載していくかという一番基礎的な考え方になります。
早速説明すると、民法的思考とは、
①生の主張を考える(ほとんどが、モノよこせ・金よこせ・やだ、のいずれか)
②生の主張を認めるための法律構成を考える
③その法律構成が認められるための要件を提示する
④問題文の事実を要件にあてはめる
というプロセスを検討することです。
司法試験や予備試験で、問題文に
「AB間の法律関係を論ぜよ」
といった形で出題されたりする可能性もあると思いますが、
この場合も、基本的には、上記の民法的思考に沿って、A(またはB)がB(またはA)に対して、どのような主張・請求ができるかを検討していくことになります。
例えば、Aは、Bから有名な画家の絵画を1000万円で購入したが、後に実はそれが偽物であったことが発覚した(Bも偽物だとは知らなかった)という事案があるとします。
この場合、AがBに対してできる請求という形で、上記の民法的思考に沿って考えてみると、
①1000万円を返せ
②不当利得返還請求
③受益、損失、因果関係、法律上の原因のないこと
④Bが1000万円の利益を、Aが1000万円の損失を受けており、因果関係あり。
法律上の原因はないといえるか?
といった形で検討していくことになります。
ここで重要なのは、基本的に上記の①〜④の中に「論点」というのはないということです。
論点は、上記の①〜④の流れで検討していく過程で、例えば当該法律構成が認められるかに争いがある場合(上記の②の部分)や、条文の要件の文言に争いがある場合(上記の③の部分)に、必要に迫られて論じるものです。
上記の事案で言うと、
不当利得返還請求の「法律上の原因がないこと」という要件の検討過程において、論点を論じる必要が出てきます。
具体的には、
偽物の絵画を知らずに買ったということで、錯誤で売買契約が無効にならないか?(=無効になれば、契約に基づかずに支払った1000万円なので、法律上の原因なくと言える)という思考の流れになります。
ここで初めて錯誤の話になります。
そして、また錯誤の要件を1つずつ検討していきます!
そこまで検討して初めて、いわゆる「動機の錯誤」の論点や「要素の錯誤」の論点を論じることになるのです。
しかも、2020年4月1日に施行が予定されている改正民法では、いままで学説に争いがあった点の複数が条文で明文化されて解決していますので、より一層、論点は条文の要件の検討の過程等でやむを得ず検討するもの視点が大切になってきます。
よく、論点に飛びつくな、という指摘がされることがありますが、まさに上記の民法的思考を無視して、論理的ではない流れで論点を記載すると、このような指摘を受けることになります。
その意味でこの発想は非常に重要ですので、ぜひ当たり前のように書けるように身につけてください。
そうすれば、民法の論文は格段に書けるようになってくると思います。
なお、論文一般の留意点やコツ等については、過去記事の連載もぜひご覧ください。
今回の記事がみなさまの参考になれば幸いです。
<今回の名言>
「勝ちに不思議な勝ちあり。負けに不思議な負けなし。」